Distance‐マイナス5cm‐
「寂しいって、悲しいって気持ちの、訴えだったの」
あたしに弱音なんて吐いたりしなくて……
「自分でも、気付いてはいなかったみたいなんだけどね」
誠は強くて
優しくて……
「それを変えてくれたのはのぞみチャンよ。本当にありがとう」
誠ママは優しく微笑んだ。
「……あたしは、あたしは何もしてないです。あたしばっかり甘えて、いつも励ましてもらってて……」
あたしにそんな力ないよ。
人を変えちゃう力なんて。
だって、だって――……
「最近誠、元気なくてね。どーしたのかなって思ってたんだけど、今日のぞみチャンに会って分かったわ」
「……え」
「のぞみチャンが元気ないのが、原因みたい」
それは……
「責めてるんじゃないの。私はのぞみチャンに本当に感謝してる。もし悩みがあって、あの子にも言えないような事なら、私が力になりたいの」
……あ
誠ママの優しくて温かい微笑みは、オレンジジュースじゃ潤わなかったあたしの心を潤した。
「あたし……」
寂しいんです。