Distance‐マイナス5cm‐
『ドキッ』!?
…え?
今あたし、誠の笑顔にときめいた!?
そんなバカな!
叶チャンに笑顔が似てる……からだよね。
「のぞみチャンおはよう。コイツさぁ、何か心配事があったらしく、珍しく早く目が覚めたらしいよ」
「へ、へぇー。誠にも心配な事なんてあるんだぁ」
誠と机を隔てて、これまた大声で笑っていた宮下クンの言葉に少し戸惑いつつ、正直な感想を述べた。
何ドキドキしてんのよ!
平常心、平常心っと。
心の中で深呼吸した。
誠はあたしの言葉を聞いて、
「俺だって硝子の10代、心配な事だってあるのさ…」
と、わざと思い悩んでいる風に、大袈裟に顔を歪めた。
……アホだ。
と思ったのは言うまでもない。
てかこんなアホにドキドキしてしまった自分が情けない。
そんな寒いリアクションを無視してあたしは平常心を取り戻し、学校に来て一番にやりたかった事をした。