Distance‐マイナス5cm‐


サンドイッチは、お母さんが家に居た証。


家に、帰って来てくれた証。




サンドイッチがテーブルに置いてある事は、あまりにも当たり前の事で、ちゃんと意味なんて考えた事無かった。




サンドイッチを作れば、家事や子育てを放棄して、仕事に没頭してもイイなんて理由にはならないけど


それでもあたしの事を忘れてないっていう、証……。





ただ、それだけで嬉しかった。





「今日は本当に、ありがとうございましたッ……」



溢れる涙を抑える事も出来ず、あたしは俯いてお礼を言った。



「頑張って」



誠ママは、あたしの手に添えていた手を、きゅッと握った。





あたしは車から出て、誠ママに向かって一度大きく頭を下げ、家に駆け込んだ。
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