Distance‐マイナス5cm‐
だけどあたしは、当たり前にくる事が予想出来たこの質問に対する返答を、考えていなかった。
あたしの大馬鹿!
何と無く誠には言えなかった……なんて言えないよね。
ここは正直に答えるよりも――
「……誠と同じ。心配かけたくなかったからッ」
でもこれは嘘ではなくて、そーゆう気持ちも確かにあったんだ。
「何も相談されない方が、心配するだろ……」
誠はあたしを抱きしめた。
「俺、超心配したし、頼られてないのかなって凄い寂しかった……」
「あたしも同じだよ。心配かけたくないって思われて、何も言われない方が、ずっとずっと心配するよ」
「……ごめん」
「あたしも、ごめんね」
もしまた、誠には相談出来ない……って思った時があったら、ちゃんとそう言った方がイイのかな。
不安を隠し切れないあたし達は、そう言う方が心配をかけないのかな。
難しいね。
相手を想うあまりに自分も心を痛めて、その所為で、また相手の心も痛む。
心痛の掛け合いみたいになっちゃうけど、そう思ってくれる人がいるだけで、きっと幸せな事なんだ。