Distance‐マイナス5cm‐
ショートホームルームでは、担任の先生が夏休みがどーたら言ってた。
もうそんな季節か。
あたしは半分だけ耳を傾け、思考と目と指は叶チャンへ送るメールに集中させた。
メールの内容は、お礼と報告。
あれだけ迷惑掛けたんだから、叶チャンにはちゃんと説明しなきゃだよね。
あたしは、まだ夏休みの事を話している担任を尻目に、メールを送信した。
なんかメール送ってから緊張が込み上げてきた。
そーいえば、叶チャンにメール送るのも久しぶりだ。
メールの内容が真面目な分だけ、余計緊張する。
少しして、スカートのポケットにしまった携帯が震えた。
『良かったな。貸し一つな』
貸し、一つ。
それは……
チャイムが鳴り、ショートホームルームの終わりを告げた。
あたしは三つ隣の列の、後ろの席に座る叶チャンを見た。
目が合った時、叶チャンは小さく微笑んでくれたような気がした。
貸し一つ。
それは、あたしが借りを返すまでは
ずっと、関係は続いてくって事だよね?
叶チャン……