Distance‐マイナス5cm‐

ショートホームルームでは、担任の先生が夏休みがどーたら言ってた。



もうそんな季節か。



あたしは半分だけ耳を傾け、思考と目と指は叶チャンへ送るメールに集中させた。




メールの内容は、お礼と報告。


あれだけ迷惑掛けたんだから、叶チャンにはちゃんと説明しなきゃだよね。




あたしは、まだ夏休みの事を話している担任を尻目に、メールを送信した。





なんかメール送ってから緊張が込み上げてきた。


そーいえば、叶チャンにメール送るのも久しぶりだ。



メールの内容が真面目な分だけ、余計緊張する。







少しして、スカートのポケットにしまった携帯が震えた。








『良かったな。貸し一つな』



貸し、一つ。



それは……






チャイムが鳴り、ショートホームルームの終わりを告げた。



あたしは三つ隣の列の、後ろの席に座る叶チャンを見た。



目が合った時、叶チャンは小さく微笑んでくれたような気がした。





貸し一つ。




それは、あたしが借りを返すまでは



ずっと、関係は続いてくって事だよね?




叶チャン……
< 312 / 481 >

この作品をシェア

pagetop