Distance‐マイナス5cm‐
この珍しい組み合わせは、ピロリンが提案したものだった。
―――――………
終業式が終わり、通知表を配られ凹んでいるあたしに、ピロリンは余裕の笑みで話し掛けてきた。
「なぁロリ、夏休みパァッと遊ばねぇ?」
「な、何よいきなり」
「誠も誘って海でも行こうぜ。もちろん結夢チャンも一緒に」
あぁ、そーゆう事ね。
ピロリンは結夢と遊ぶ口実が欲しいのね。
「結夢誘いたいんだったら、自分で誘えばイイでしょ。ピロリンって意外と奥手?」
ニヤつくあたしに、ピロリンは溜め息を吐いた。
その溜め息、通知表配られた時は出なかったくせに。
「俺が誘っても、結夢チャンは絶対嫌って言うだろ」
そんなあたしの思いなんて知らず、ピロリンはうなだれた。
まぁ確かにね。
当たって砕けろって言ってやりたいけど、ピロリンには結構お世話になってるし……。
でもあたしが誘ったところで、どーせ無駄だと思うけどね。
結夢は大勢で遊ぶの嫌いだし、タカヤンがいるし。