Distance‐マイナス5cm‐
「昨日、不覚にも励まされてしまってねぇ。お礼言ってきた」
「ふ〜ん。なんかイイ感じなんじゃな〜い?」
さっきよりも更にニヤニヤ度合いは増し、もう笑顔に見える。
「イイ感じもヤな感じもないよ。別に普通」
うん、普通。
アイツが叶チャンみたいな笑顔したから、叶チャンとダブってちょっとときめいただけ。
そう自分に言い聞かせ、制服にしまっていた携帯を取り出しながら、結夢の妄想をあしらう。
「愛しの叶チャンは?」
「今メールするとこ」
今日、学校に来てから二番目にしたかった事。
それは叶チャンとの仲直り。
本当は一番やりたい事だけど、勇気のないあたしは簡単な事からしかできない。
あぁ…
ダメだな、あたし。
そんな自分に活を入れ、メールを作成した。
『話したぃ事があるから、放課後一緒に帰ろぅ?』
送信ボタンを押すのを少し躊躇ったけど、意をけっして送った。
メールを送信したあたしを見て、結夢は
「ホント懲りないねぇ」
って苦笑いした。
だって、好きなんだもん…
それから一時間目の休み時間、叶チャンからメールがきた。
『わかった』