Distance‐マイナス5cm‐
海水浴場を出て、あたし達四人は、近くの健康ランドでお風呂に入る事にした。
結夢と二人でお風呂を出ると、誠とピロリンは二人で卓球をしていた。
ここは温泉旅館かよ。
しかも元気だねぇ。
呆れつつも、あたしと結夢も卓球に参加した。
卓球も飽きてお腹も減り出したので、そこで食事して、またゲーセンで遊んでいたら、いつの間にか夕方近くになっていた。
「取り敢えず駅まで行く?」
ピロリンがそう言って、あたし達は帰りの電車をホームで待つ事になった。
この無人駅は本当に人がいない。
夏休みなのに、乗客すらもほとんど居ないのだ。
電車も、一時間に一本か二本。
ようやくあたし達の乗る電車が駅に入ってきて、ピロリン、結夢に続き、あたしも乗り込もうとした時。
グイッ
と腕を引っ張られ、電車に乗る事が出来ず、あたしの乗るはずだった電車は、結夢とピロリンを乗せて行ってしまった。
あたしの腕を引っ張った人は誠。
「ど、どーすんのよぉ?」
あたしが眉をひそめていると、誠は笑いながら言った。
「海行こ」