Distance‐マイナス5cm‐
「はぁ〜ぁ」
「そんなに美姫が恋しいんだ」
誠はシャーペンを指でクルクルと回しながら苦笑した。
「まぁねぇ」
「前家の前で会ったんだけど、友達と一緒だったな」
「えッ、そーなの!?」
美姫、友達いたの!?
って、あたしかなり失礼!?
「同級生って言ってたな。確か名前は……綾って子」
「そーなんだぁ」
美姫、友達できたんだ。
何だか自分の事の様に嬉しい。
「“のぞみサンみたいに、しつこく友達になりたいって言ってきたから、仕方なくなってあげたの、フフン”とか言ってたな」
「あッははッ!マジでぇ」
そう言ってる姿がもろに想像出来て、思わず吹き出してしまった。
誠もその時の光景を思い出したのか「マジで」と言って苦笑している。
そんなあたし達の笑いを遮る様に、あたしの携帯が着うたを鳴らし、着信をしらせ始めた。
バッグから携帯を取り出すと、電話は結夢からだった。
いきなり電話してくるなんて珍しい。
どーしたんだろ。
あたしは誠に一言「結夢から」と言い、電話に出た。