Distance‐マイナス5cm‐



『笑顔ののんを嫌いな奴なんていないと思うぞ☆』




昨日の誠からのメールを見て、深呼吸した。


仲直り…出来るかな。


やっぱり不安だった。

終礼が終わって、結夢も頑張れって励ましてくれたけど……

それから30分が経って教室に誰も居なくなっても、まだ叶チャンのクラスに行けないでいた。


ホントにダメだな、あたし……

教室で黄昏れてる場合じゃないって言うのにー!

こんなんじゃ、愛想尽かされちゃうよ……


誠からのメールを何度も何度も見返した。


笑顔のあたしか……


「……はぁ」

また溜め息をついて、机に突っ伏した。


叶チャンに嫌われたあたしに、笑顔なんてできるのかな。

叶チャンがいなきゃ、笑顔になれないよ……





「おせーよ、何やってんの」


――えッ!?

この声は……


聞き慣れた声に、反射的に勢いよく顔を上げると、目の前には思った通りの声の主。

30分も待たされ、痺れを切らせてこの教室に入ってきたその声の主は、あからさまに不機嫌そうな顔をしていた。
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