Distance‐マイナス5cm‐

「そっかぁ。無理しないでね。夏休みあんまり遊べなかったから、寂しかったよぅ」


「ごめんごめん」




あたし達が話していると、叶チャンとピロリンが一緒に教室に入って来た。


二人は、声を掛けてくるクラスメートに一通り挨拶を交わして、あたし達の方へ向かって来た。



「ロリ、結夢チャン、おはよう」


「ピロリンおはよう。叶チャンも、おはよう」


「おはよ」


叶チャンはあたしの挨拶に、優しく微笑んで返してくれた。



あの花火をした日から何も連絡は取っていなかったけど、あたし達のわだかまりは自然に消えていた。


あたしの中でも、叶チャンの中でも、何か区切りがついたんだろうと思う。




「……おはよう」


結夢は目を伏せて、小さく言った。



どーしたんだろ?


さっきあたしと話していた時みたいな笑顔がない。



ふとピロリンを見ると、眉をひそめていた。




結夢とピロリン、何かあったのかな……。




お互いの顔を交互に見ていると、ショートホームルーム開始のチャイムが鳴った。
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