Distance‐マイナス5cm‐
美姫の話では、夏休み前から綾チャンによく話し掛けられるようになって、仕方なく友達になってあげたそうだ。
それを聞いて、誠の言った通りで笑った。
でも美姫は、少しずつ変わってきたと思う。
表情が優しくなったっていうか、何と無く、刺々しいオーラが薄れてきていた。
美姫は、これからは綾チャンとお昼ご飯を食べる事にするらしく、あたしが「寂しいなぁ」って言ったら、「たまには来てあげるわよ」と、嬉しそうに言ってくれた。
でも本当に良かった。
美姫の良さを、ちゃんと分かってくれる娘がいて。
美姫も結夢もあたしも、昼休み中終止笑顔を絶やさなかった。
でも結夢の、笑顔の裏にあった本当の気持ちは、気付いてあげられなかった。