Distance‐マイナス5cm‐
結夢の瞳から一粒、涙が零れた。
その一粒をきっかけに、ぽろぽろと後を絶たずに涙は落ち、結夢の綺麗な頬を濡らしていく。
「あッははッ……何なのよこれ、止まんない。止まんない……」
あたしは結夢の頭をポンポンと撫でる。
誰かがいつも、そうしてくれていた様に。
「結夢、大丈夫だよ」
あたしはそれしか言えない。
そう言って、結夢の頭を撫でるしか出来ない。
「のん……あたしッ、あたしぃ……うッ、うぅッ……」
結夢はもう、泣く事を我慢しなかった。
いつも弱音なんて吐かない結夢。
辛い事、いっぱい我慢してる事知ってるよ。
気付いてあげられなくてごめんね。
あたしは、ただ傍に居る事しか出来ないけど
結夢が辛い時、一緒に泣く事しか出来ないけど
あたしはずっと、結夢の傍を離れないよ。
だから、我慢しないで。
「あたしは結夢の味方だから。ずっと、結夢の傍に居るから…結夢の事ッ…大好き、だからッ…いつもッ、いつも傍に居てくれてッ…ありがッ、とう」
言いながら、あたしもいつの間にか泣いていた。
結夢、あたしはBVLGARIの代わりに、なれるかな……