Distance‐マイナス5cm‐

「のんは、変わった?」


「え?」

あたしが二人の事を考えていると、誠はあたしの思考を中断した。


「みんな変わってくもんだけど、きっと変わらないモノも沢山あるよ」

そう言って笑った誠の顔は、どこか寂しそうだった。



誠は、何を考えているの?

何を想って、そんな寂しそうな顔をして、そんな事を言ってるの?



考えてみても、この短時間で答えが見えるはずもなかった。


「誠は、あたしが変わったと思う?」


聞き返すと、誠は少し目を伏せて、あたしの質問に対する答えを考えているようだった。


「変わった部分もあるけど、全然変わってない」

あたしの目を見て、ニヤけた顔をして言う誠。

真面目なのか冗談なのか分からない。



「どんなのんでも、俺がのんを好きって気持ちは変わってないし、これからも変わらない」


そう言って、また寂しそうに笑うから、あたしは胸が締め付けられたんだ。
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