Distance‐マイナス5cm‐
結夢、それはね――…
それは……
「全部相手の所為なの?」
あたしが何を言おうか迷っていると、静かに聞いていたピロリンが言った。
その顔はいつものヘラヘラした顔とは違って、真剣だった。
「結夢チャンは相手の事好きだったの?信じてたの?」
結夢の肩がピクンッと震えた。
それでもピロリンは続ける。
「人間関係は一人じゃ築けねーんだよ。結夢チャンは努力したのかよ」
「何が分かるのよ!あんたに、何が分かるの!?」
ピロリンの言葉を遮る様に、結夢が叫んだ。
こんな結夢は見た事無かった。
いつも、何を言われても軽くあしらうのに。
でもそれは、図星をつかれた事に対しての動揺に、あたしには見えた。
ピロリンは、結夢の叫びにも睨みにも怯む様子はなく、ただ真剣な顔をして結夢を見詰める。
あたしはその二人を傍観する事しか出来なかった。
叶チャンも、ただ静かに二人を見ている。