Distance‐マイナス5cm‐

「結夢チャンは、もっとカッコイイ女だろ」

ピロリンが言った。


あたしも、結夢は強い女の子だと思ってた。

でも違うの。

違うんだよ。

何も言わなかったのは、そうしないと辛い気持ちを、今みたいに抑え切れなくなるからなんだね。



「……違うッ。あたしは弱いよ、傷付きたくないよ。こんな、こんなあたしを好きになってくれる人なんて居なかったッ。天耶しか、いなかったのにッ……」


結夢は堪え切れなくなった大粒の涙をポロポロと流し、その場に崩れる様に座りこんだ。


ピロリンは、結夢と同じくらい辛そうな顔をしていた。

あたしは結夢を、何も言わず抱きしめる。





結夢は、孤独を感じていたのかな。

誰も本当の自分を好きになってくれないって、ずっとそう思ってたのかな。


違うよ。

違うから……。



「好きだって言われたから好きになったの?
結夢チャンは、自分を好きになってくれる奴だったら誰でも良かったの?
結夢チャンがどんな態度取ったって、それでも好きだって言ってくれる奴なら、誰でも良かったのかよ?」


ピロリンの言葉に、結夢の肩がまたビクリとした。
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