Distance‐マイナス5cm‐
「美味しい?」
向かい合って、一昨日と同じ様にハンバーグを食べるあたし達。
もう何回もこうやって食卓を囲んできたけど、それってすごく幸せな事だったのね、あなた♪
と、心の中でウィンクしてみたけど、叶チャンは全く気付かず。
あぁ…
やっぱりテレパシーは、相手も電磁波出してないと通じないのね。
なんて事を思ってる事も、全く気付かず。
まぁ、気付かれたらまたバカにされるだけだからイイんだけどね!!
心の中でさえも強がってみせる、不憫なあたし。
――てな妄想はさておき、こんなに続くとさすがに飽きるだろうと思ったから、今日はチーズハンバーグにしてみた。
だけど……
「いつもと同じ」
あぁ、いつもと同じく美味しいって事ね。
ホント一言足りないわぁ。
今日はチーズハンバーグで、いつもと同じじゃないんだけどな!
一つ目のハンバーグを口に放り込みながら、叶チャンは二つ目のハンバーグに手を伸ばす。
でも、いつもと同じって事は、やっぱり美味しいって事だよね。
口下手な叶チャンの行動は、言葉よりも素直だ。