Distance‐マイナス5cm‐

「だってさぁ、あたし太りたくないもん。皆だって料理、口に合わなかったんじゃないの?」

隣に座る結夢に、頬を膨らませてみた。


三人は「んー」と考えた後、頷いて同意した。



ほらやっぱり。




「そういえばロリ、誠に土産買わねぇの?」

結夢の向かいに座るピロリンが、いきなりそんな事を言った。



ま、誠の名前を叶チャンの前で出すか!?



あたしは思わず向かいに座る叶チャンの顔を見てしまったけど、叶チャンは何も気にせずハンバーガーを頬張っていた。




――て、あたしは何を心配してるんだろ。

叶チャンとはもう何でもないし、あの時にきっぱり終わったんだから。




でもやっぱり、叶チャンの前で誠の名前が出るのは気まずい。








「お土産、後で見てみようかな……」



あたしは引き攣った笑顔をピロリンに送った。







誠とこんなに会わなくて、連絡も取り合わないのは初めてだ。


そう思ったら、寂しさが込み上げてきた。




今日、ホテルの誠の部屋に行っちゃおうかな……。



そんな計画を心の中で立てた。
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