Distance‐マイナス5cm‐

その視線に照れながら、誠の所在を尋ねた。


宮下クンが言うには、誠は今お風呂に入っているらしい。


ニヤけた笑みを浮かべ「一緒に入っちゃえば」と言う宮下クンを無視し、部屋に入れてもらう事にした。

そして気を使ってくれたのか、宮下クンはカードキーを持って部屋を出て行った。



あたしは二つあるうちの、多分誠のであろうベッドに腰を下ろした。


部屋の作りはあたし達のと同じ。

ベッドが二つ。

蒸留水のタンク。

パソコンにテレビにクローゼット。

そしてバスルームに続く黒いドア。


そこからはシャワーの音が聞こえた。




宮下クンの言っていた「一緒に入っちゃえば」って言葉を思い出す。


い、いやいやそんなッ!



一人で顔を赤くしながらポツンと座っていると、シャワーの音が消え、ドアが開く音がした。



「え、のん?」


その声に顔を上げると、Tシャツにスエットズボンを履いて、タオルで髪を拭いている誠の姿が目に入った。


「ひ、久しぶりッ」


あたしはその姿にドギマギして、変な挨拶をしてしまった。
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