Distance‐マイナス5cm‐
「ひ、久しぶり」
誠も呆気に取られた様にそう言って右手を上げる。
そして少しの沈黙の後、あたし達は吹き出した。
「つかのん、そんなカッコでここまで来たの?」
「え?うん、そーだけど」
「バカか」
「なぁッ!褒めてよぉ!」
あたしはベッドに座りながら、目の前に立つ誠を見上げて睨んだ。
そうしたら、誠はいきなりあたしを抱きしめてきて。
「そんなカッコでうろちょろすんなよ」
頬っぺたに触れる濡れた髪。
シャンプーと石鹸の匂い。
耳元で囁かれる、優しくて甘い声。
あたしの心臓は、激しく脈打った。
そしてあたしはそのまま、ベッドに押し倒された。
「なッ、あのッ、誠?」
「ずっとのんに会いたいと思ってて、それなのにいきなりそんなカッコして来るから……」
誠の髪から落ちた水滴が、あたしの頬を濡らした。
誠はその水滴をすくった親指を、そのままあたしの唇に這わせる。
「可愛いよ」
優しく笑う誠。
あ、あの、何だかキャラが違う様な気がするんですけどぉ!
なんて思いながらも、あたしの心臓はドキドキ。