Distance‐マイナス5cm‐
意味分かんないし!
てかロリなんて呼ぶのピロリンだけだし!
心の中で抗議しても、恐怖で声には出せなかった。
あたしがしゃがみながら固まっていると、叶チャンが手を出してくれた。
あたしはそれを見上げる。
「戻る?登る?登るなら手ぇ貸してやるから」
そう言って優しく微笑んだ叶チャンの手を、あたしは迷わず握っていた。
あたしのその行動に、叶チャンはまた、優しい微笑みを浮かべた。
あたしはそのまま手を引かれ、デコボコ道を登って行く。
叶チャンの手は、誠とは違って冷たかった。
でもその冷たさが懐かしくて、少し胸が締め付けられた。
ピロリンはそんなあたし達を見て結夢に手を貸そうとしていたけど、結夢は軽くあしらっていた。
でもこの二人は、なんだかんだやってても仲が良さそうだ。
結夢が男の子の前で、こんな風に素を出せる事って、きっとあまり無かったと思う。