Distance‐マイナス5cm‐

そのドアを開けたのは、呆気に取られたような顔をした叶チャンだった。




えッ?えッ!?

ここ、叶チャンの部屋!?



あたしも呆気に取られた顔をしながら突っ立っていると、結夢はまたあたしの手を引いて、部屋に入って行った。



「ごめんねぇ、いきなり。ちょっとかくまらせて」


結夢が、奥のベッドで横になっているピロリンに向かって言った。


ピロリンは結夢の顔を見るなり起き上がり、結夢とあたしと、あたしの後ろに居る叶チャンの顔を見回した。




いきなりのお部屋訪問。

二人の部屋だったなんて。


あたしは驚きながらも、いきなり一般のお宅に訪問しちゃう、迷惑きわまりない何かの番組を思い出していた。











事の経緯を二人に簡単に説明し、少しの間かくまらせてもらう事になった。



「男子はまだ点呼終わってないの?」

結夢がピロリンに言った。

「そーいや、まだ来てないな」

ピロリンは思い出す様に呟いた。



まだ来てないって、もう10時なのに。


先生忘れてるのかな。



点呼が終わるまでは、いつまた先生と鉢合わせちゃうか分からないし、出て行けない……。
< 386 / 481 >

この作品をシェア

pagetop