Distance‐マイナス5cm‐

久しぶりに三人での帰り道。

あたし達はもっぱらピロリンの事を話した。




ピロリンは絶対結夢の事好きなんだろうなぁ……

二人なら応援したいかも。

まぁ、結夢は今はそーゆう気にはなれないと思うけど、いつかね……







結夢とは途中で別れ、誠と二人きりになった。


あたしの家までの短い距離。

久しぶりの二人の時間。




あたし達の、ガラガラとスーツケースを引く音と笑い声が、暗い住宅街に響いている。


毎日一緒に居たから、ほんの何日か離れていただけで寂しく思う。


話してる間、ずっと誠の顔を見詰める。



「何見てんの」

そう言って照れた様に笑って、あたしの頭を軽く小突いた。



「久しぶりだから嬉しくて」

素直にそう言うと、誠はまた笑って、

「俺も」

って言った。



街灯の小さな明かりに勝った闇が、あたし達の照れた顔を隠した。




でも月明かりが、あたし達のキスをスポットライトみたいに照らしていたのは、気付かなかった。









あたしの家の前に付き、もう一度キスを交わしてから、家の中に入った。


もう、家の合い鍵はいらない。
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