Distance‐マイナス5cm‐
気付いた想い
日曜日。
修学旅行の疲れが完全には取れていない体をお昼前には起こして、誠の家に向かった。
さすがにお互い疲れていて外でデートする気にはなれなくて、誠ママと三人で他愛ない話をしたりした。
夕方になり、あたしは家に帰ってお母さんと夕ご飯の支度をしていた。
土日はいつも、早目に家に帰る。
家族との時間を、ちゃんと持ちたい。
カレーを掻き交ぜていると、部屋着のポケットに入れていた携帯が、メールの着信を知らせる音楽を奏で始めた。
鍋を掻き交ぜている手と反対の手でそれを取り、開く。
メールは叶チャンからだった。
『今から出てこれる?』
何だろう。
あたしは首を傾げながら、携帯をポケットにしまい、鍋の火を止めた。