Distance‐マイナス5cm‐
「……あぁ」
画面に映った叶チャンは、そのままの態勢で、あたしの質問の答えを呟いた。
「い……つ?」
自分の出した声が、あまりにも弱々しく、震えていて、驚いた。
「来年の3月」
来年の3月。
今から4ヶ月後。
4ヶ月は、長い様で短い。
「そっか……」
あたしはそれしか言えなくて。
ホントはもっともっと、泣いたり、叫んだりするのかなって思ってたけど、そんな風にはならなくて。
それが逆に、凄くリアルだった。
居なくなる事を冷静に受け止めているのか、それとも受け止められないからこんなに冷静になれるのか……
だってさ、今隣に居るんだもん。
今までだって、ずっと傍に居てくれたんだもん。
前来た時、一緒に居てくれるって言ったんだもん。
叶チャンは、嘘、吐かないんだもん。
そう、嘘は、吐かないんだ……
「叶チャン……」
手をのばせば触れられるのに、居なくなっちゃうなんて思えなくて。
今、あたしがのばした手が、叶チャンの手を確かに握っているのに。