Distance‐マイナス5cm‐
「何で、そんな顔すんの?」
あたしに顔を向けた叶チャンは、そう言ってあたしの顔に手をのばした。
叶チャンの指があたしの頬に触れて――
零れた涙をすくってくれた。
あぁ……
あたし、泣いてたんだ。
「やっぱ、永遠なんてないよな……」
あたしの涙をすくってくれた叶チャンは、あたしよりも悲しそうな顔をしていた。
永遠……。
叶チャンが言っていた、
“形がある物はいつか壊れる”
“始まりがあれば終わりもくる”
叶チャンのお父さんとお母さんは、幼なじみで――……
「親父、ずっとお袋の事待ってるって、言ってたんだけどな……」
叶チャンは、そう言って俯いた。
「叶チャン……」
握った手と違う方の手を、叶チャンの顔にのばした。
だって、泣いてるのかと思ったんだ……。
だけど叶チャンは、のばしたあたしの手を掴んで
顔を上げて、笑った。
「何でお前が泣くんだよ」
何で、叶チャンは笑えるの?
何で――……
「叶チャンは、何でいつも笑うの?」
寂しそうに。
ねぇ、どーして?