Distance‐マイナス5cm‐

食卓を囲む霧島家の親子と、あたし。

叶チャンはおじさんの向かいに座り、あたしは叶チャンの隣に座る。




テーブルの上には、先程レンジで温めたばかりのエビチリに、ポテトサラダ。

そしておじさんが作った玉子焼きに味噌汁。

それとご飯。



霧島家は、いつもこーゆう食事らしい。




やっぱりお母さんができる事は、イイ事なんじゃないかな……

そう思う。


そして、誠と付き合うようになってから夕ご飯を作りに行かなくなった事を少し後悔しながら、あたしは玉子焼きに箸を付けた。





「親父、再婚相手はお袋ってどーゆう事だよ」


あたしが玉子焼きを口に入れた時、叶チャンはおじさんを睨むように見て言った。

おじさんはその問い掛けや睨みもまるで気にしてない様に、味噌汁を啜った。


何だかこの雰囲気にいたたまれなくて、あたしは玉子焼きを噛む事を忘れた。





と言うか、あたしはこの場に居てイイのかな。

まるっきり部外者が、こんな真剣な話し合いの席に居ちゃいけないような……
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