Distance‐マイナス5cm‐

「あ、クリスマスプレゼントさ……」

「何?」

「俺、欲しい物があるんだ。だから、用意しないで」

「え?うん、分かった」



誠からこんなお願いをされるのは初めてだった。


欲しい物って何だろ?


お金足りるかな!?






そんな心配をしながら、時間は過ぎていった。













今日は、12月24日。



クリスマスイブ。





去年のクリスマスは、色んな事があったな。



誠と二人でツリーを見て、誠の家族とパーティーして、美姫に嫉妬して、初めて心も体も一つになって、そして、ペアリングをもらった……。



去年の事を、まるで昨日の事の様に思い出せる。


あれから、もう一年経ったんだ。





今年のクリスマスは、誠の家族とも、美姫とも過ごさない。

二人だけのクリスマスイブ。




でもどーしてかな。




とても楽しみなのに、

嬉しいのに、

この気持ちは去年とは違う。





ニットのワンピースに着替え、化粧をすると、携帯にメールが届いた。


見なくても分かる。



今着いたっていう、誠からのメール。
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