Distance‐マイナス5cm‐
誠と別れてから、何と無く過ごす毎日。
叶チャンは、もーすぐ居なくなってしまうのに。
叶チャンは、3月からおじさん達と東京で暮らす。
優しい叶チャンは、おじさん達を見捨てる事なんてしない。
東京で家族三人、やっと一緒に暮らせるんだ。
あたしは――
あたしは、どーすればイイのかな。
叶チャンに想いを告げる事なんて出来ない。
誠を苦しめたあたしは、その罰を受けなきゃいけないんだ。
ねぇ、だけど、この想いはどこにやればイイ?
溢れた行き場所のない想いは、どこに行くの?
誠を失った悲しみも、叶チャンを失う苦しさも……
放課後の、誰も居ない教室。
窓は曇り、そこから見える外は暗く、雪が降りしきる。
雪がやむのを、一人で待っている。
叶チャンや結夢やピロリンまで心配してくれた。
でもあたしは一人になりたいんだ。
一人でいたい。
久しぶりの、誰も居ない放課後の教室。
いつもはチャイムと同時に教室を出ていた。
でも、今日は残っていたい。