Distance‐マイナス5cm‐


「のんー、今度の土曜、誕生日だよねぇ?絶対に空けといてよ」


昼休み、大好きなメロンパンの袋を開け甘い匂いにニヤけていると、隣の席に座りいちごオレを啜っていた結夢が唐突に言った。



「イイけど……何で?」


「何でも。約束ね」


そう言った結夢の笑顔は、とても楽しそうだった。




結夢からの去年の誕生日プレゼントは、あのピンクの袋に入ったままタンスの奥に眠っている。


だって使えるわけないじゃん。

今年はどんなプレゼントを用意してくれてるのかしら。


楽しそうな笑みはあたしの不安を大きくさせ、多少引き攣った笑顔を結夢に送った。







それから数日が過ぎ、金曜日。



結夢に

「明日12時に駅前に来てね!気合い入れてオシャレすんのよ」

と学校からの帰り道に言われ、今もメールで念を押された。



何企んでんだろ。

まぁ、遊びって事よね。



あまり深くは考えず、そのまま眠りに落ちた。
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