Distance‐マイナス5cm‐
放課後の教室で二人。
あたし達は、文化祭の予算案や、細かい文字で何やら小難しい事が書かれたプリントの束と睨めっこしていた。
取り敢えずそれは、今日中に決めないといけない事らしい。
何の事やらチンプンカンプンなあたしをよそに、誠は、着々と案をまとめていってくれていた。
意外と頼りになる奴だと感心しながら、あたしは誠の話す言葉を聞いて、プリントにメモしていく。
そんな作業を一通り終え『今日中に決めなきゃいけない事』は、全て決まった。
最近、誠なんかに頼りっぱなしな事が釈で、素直にお礼を言えない捻くれ者のあたし。
プリントの束を立ててトントンと机に落とし、端を揃えながら、向かい合っている誠に聞いた。
「ねぇ、誠さぁ、真希サンって人と仲イイの?」
それを聞いて、プリントに目を落としていた誠はあたしに目を向けた。
「仲イイってか、まぁ普通かなぁ」
「あの人、叶チャンの彼女だよ」
その言葉が、少し嫌な言い方になっている事に自分でも気付いた。