Distance‐マイナス5cm‐
叶チャン叶チャンって執着し過ぎだと自己嫌悪。
あたしは俯いた。
でも誠は、そんなあたしの言葉や態度も気にしていないように続けた。
「なんか別れたらしいよ。あんな男フってやった!とか言ってたけど、フラれたんだろ」
「そーなの!?知らなかった」
大して興味がなさそうに話す誠に思ってもみなかった事を言われ、驚き以上に喜んでしまった。
そんな感情が顔と声に出てしまったらしく
「らしいよ」
と、苦笑された。
自分の馬鹿正直な態度に赤面しつつ、誠の話にすり替える作戦を試みた。
「誠は真希サンと中学一緒とか?」
「全然。高校で知り合ったんだよ、逆ナンされて」
「逆ナン!?」
「入学式の時にな」
冗談かと思ったけど、更に苦笑いして話す誠を見て、どーやら本当の事なんだと分かった。
てか逆ナンってホントにあるんだ!?
未知の世界の話に、少ない人生経験しかないあたしの脳は、あらぬ妄想を始めた。
そして導き出された答えは……
「ルッパ〜ン」
「不二子チャンかよ!」
誠のツッコミが、放課後の校舎に響いた。