Distance‐マイナス5cm‐

「高校に行ったら、絶対楽しい思い出作ろうと思った。でもどーすればイイか分かんなくて……結局中学ん時とあんまり変わらなくて」


「そんな事ないよ。誠はいつも楽しそうだったよ」




その笑顔は、あたしの心まで寂しくさせた。


だからあたしも笑って言ってみた。



そうしたら誠は優しい笑顔になって……




「のんは、初めて会った時からいつも一生懸命で、憧れてた。必死にクラスの全員に挨拶しててさ」


「そ、それは、楽しく高校生活送りたいし」



そんな風に思われてたなんて知らなくて、しかもそんなの覚えてるなんて恥ずかしくて。


あたしは自分の行動を思い出して、顔を赤くしながら誠に言い訳した。



それを見て誠は笑った。



「イイなぁーって思ってたら、好きになってた」




その笑顔と言葉に、あたしは更に顔を赤くして、俯いた。



――こんなの反則だ……



あたしの気持ちを知らない誠は、その笑顔で続けた。
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