Distance‐マイナス5cm‐
「クラス委員になれてスゲー良かった。中学ん時は馬鹿らしいって思ってた事が、今は全部楽しいって思える。それ気付かせてくれたの、のんだから」
「あたしは、何も……」
顔が上げられない。
心臓がうるさい。
「のんはさ、いつから霧島の事好きなの?」
「えッ?」
思いもよらない突然の質問に少し動揺しつつ、答えを探した。
「物心ついてから、ずっとかな」
多分そう。
叶チャンを好きじゃなかった時なんて無かった。
気がついたらもうあたしは、叶チャンが好きだった。
「15年か……。俺、それ以上にのんを待てる自信あるよ」
「なッ、えッ」
戸惑うあたしに、誠はいつもの笑顔で言った。
「帰ろっか」
「う、うん」
そうして、二人で教室を出た。