Distance‐マイナス5cm‐
あたしはビリビリに切られたドレスに触れた。
「ごめんね、あたしの所為で……誠も相手がいなきゃ出れない……。みんなも、せっかく作ってくれたのに……」
そう思ったら、また涙が出てきてしまった。
「のんの所為じゃないだろ。のんが謝る事じゃない。それに……俺はのんと踊りたかっただけだし」
優しく笑う誠の顔は、誰にも似てなくて。
誰にも似てないのに、胸が締め付けられた。
この気持ちも、知ってる。
素直ってどーゆう事なのか、捻くれ者のあたしにはまだよく分からないけど、今、感じている事を言えばイイのかな?
「あたし、変なんだよ……」
「変なのは前からだろ」
勇気を出して言ってるのに、誠はいつもの様に茶々を入れてくる。
「もうッ、真面目に聞いてよぅ」
頬を膨らますあたしに、誠は、ごめんごめん。と平謝りする。
その態度に、あたしはまだ膨れたまま言う。
「ドキドキするの、誠といると。叶チャンが好きなのにッ」
ふんッ。と、そのままそっぽを向いた。
しばしの沈黙……。
あれ?
反応がない。
あたしは恐る恐る誠に向き直った。