Distance‐マイナス5cm‐
「――なんてな」
「えッ?」
ニカッと笑う誠の顔は、いつもの誠で。
「まだ明日まで時間あるよな。これ、何とかできんじゃない」
――ドレス
「あの、誠ッ……」
「返事とか、いつでもイイから。今は明日の事だけ考えよ」
――誠……
気を使って言ってくれてる事に気付いた。
……ありがとう。
心の中で、優しさを噛み締めた。
「布とかまだいっぱい残ってたよねッ。ミシンもあるし……やってみよう」
「おう、俺も手伝うから」
――数時間後
不器用な誠と二人で、何とか仕上げたドレスは、どんなドレスとも違う、独特な可愛いらしさがあった。
窓の外を見たら、少し明るんでいるような気がした。
でもあまり覚えていない。