Distance‐マイナス5cm‐


ドレスに着替え教室に入ると、女子も男子も集まっていた。

「お待たせ♪」

その中に入っていくあたし。

「のん、超可愛い♪」

滅多に人を褒めたりしない結夢が、目を輝かせながら真っ先にあたしの元へ駆け寄った。

「えへへ、ありがと」


嬉しい♪

あたしも自分で言うのも何だけど、結構イイ感じだと思うんだよねぇ。


「ちょっと来て」


「えッ?誠」


イイ気分に浸っていたのに、いきなり腕を掴まれて、教室の端っこに連れて行かれた。


「ど、どーしたの?」



「……ダメ」


「何が……?」


誠は何か言いたそうにしながら、無言で俯いた。

「あ、あの、誠?」


「何でそんなに可愛いの?俺以外に見せたくない」


「は、はぁ……!?」

顔を真っ赤にしながら、それでも真剣な顔で言う誠を、可愛い。なんて思ってしまった。

「何でもない!今日頑張ろうな!」

そう言って、くるっと回れ右してみんなの中に入って行く。

「う、うん……」
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