Distance‐マイナス5cm‐
「あ、誠。あたし今日彼氏が来てるから、のんと一緒に帰れないんだ。のん送ってあげて」
「任せろ」
――へッ?
「ちょっと、勝手に決めないでよぅ」
なんて言いながらも、顔がニヤけてる自分に気付いた。
あたしのバカッ!
ニヤけてるんじゃなーい!
「イイよな?」
「えッ、は、はい」
あ、思わず変な言葉遣いになっちゃったし。
誠はそんなあたしを見て笑う。
だから、まぁいっか。って気持ちになる。
変なの、あたし……。
文化祭も終わり、教室でプチ打ち上げをして、解散になった。
結夢は玄関まで一緒だったけど、校門に停まってる白いスポーツカーを見付けて、笑顔で駆けて行った。
それを見てあたしと誠は、ツンデレだって笑い合った。
「誠、昨日から色々ありがとうね」
「別に何もしてねーけど」
「ううん、色々と……」
もう日が短くて、辺りは真っ暗だった。
「あのね、誠……。聞いて欲しい事があるんだよ」
「ん、何?」
あたしはドキドキを抑える為に、俯きながら話し始めた。