Distance‐マイナス5cm‐

「あのね、今日…可愛いって言ってくれたでしょ?凄く、嬉しかった」


「お、おう」


誠は照れたような顔をした。



「今日凄く楽しくてね、誠が衣装直すの手伝ってくれたお蔭。ありがとう」


「いや、俺は何も……」


誠は少し微笑んだ。



「誠といると安心してね、一緒にいるだけで楽しい」


「……ん」


誠は嬉しそうな顔をした。


「いつもドキドキしてね、一緒にいない時も誠の事考えちゃう」


「え……」


誠は驚いたような顔をした。




でも、今のは全部、あたしの想像。

あたしは顔を上げられないから。



でも……



「あたし、あたしね……」


うるさい心臓を鎮める為に、大きく深呼吸した。




「あたし、誠の事好きかも!」


きっとあたしは今、真っ赤な顔をしてるに違いない。

それでもこれだけは顔を上げて、誠の目を見て言いたかった。




「……マジ?」


誠は、信じられないと言うような顔をした。



「……うん。あたし嘘つかないもん」


「……て、事は」


「イイよ、付き合っても」



誠は顔を赤くして、満面の笑みを浮かべた。
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