『好き』なんだよ…

 鞄を持ってリビングを出た。


「あっ! それじゃあ、麗奈さん!今日は、これで! 」



 お母さんとの話を切り上げて、裕が追いかけてきた。


「待っててくれたっていいじゃん! 迎えに来てやったんだからさ! 」

 …!! そんなこと言われたら…また…///


「…っ別に、迎えに来てなんて言ってないし!! 」


 あ~。また言っちゃった///。


「…でも、いーの! 俺が迎えに来たいんだから!! ダメって言われても来るし!! 」


 裕…。

「よし!! 行こ!! 」


「ちっ…ちょっと!! 」


 裕は、あたしの手を引っ張って家から飛び出した。



 あたしの手はガッチリ裕に握られている。


 もう…///あたしの気も知らないで…///


 手を握ったまま歩きだした。


 あたし達が通る通学路には大きな桜の木が立っている。


 今年はまだ、咲いてない。

 
 その桜には都市伝説みたいなのがあって、


 『その桜が満開に咲いたころに、その木の下で告白すると、その人と幸せになれる』って言われてる。


いつかあたしも、告白するときはその桜の下がいいと思ってる。

 でも、素直になれないまま…。


「どうした? 瑠花? 」
 

「…別に! ちょっと考え事してただけ! 」


「考え事? 瑠花でも、するんだな! 」


「なっ! あたしだって考え事ぐらいするわよ! 」


「へぇ~。じゃあ、何考えてたの? 」


ヤバい! 裕のぺースに乗せられてる! なんとかして、他の話に切り替えなきゃ…! 


「べっ、別に裕にはあたしが何考えてても関係ないでしょ! 」


「え~~。でも、俺は瑠花の事考えてるから、瑠花も俺の事考えよーぜ! 」


なっ/// あたしのこと!? 何考えてんの!? ///


「あたしは…」


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