ジェフティ 約束
 ラルフはシェシルを振り返り、手を出してたずねた。
「ナタかナイフ、持ってる?」
 シェシルはマントをめくると、腰に下げていた大振りのナイフを抜いて、ラルフに手渡した。それは刃に厚みのある鋭く研いで手入れのされた、どっしりと重いものだった。ラルフはナイフを握り締めて下草を薙いだ。
「このナイフ、剣とそんなに大差ないじゃないか……」
 ラルフの口からグチが漏れる。このナイフなら、どんな獣も一撃で倒せるだろうなと思いながら、常にこんなものを腰から下げているのかと感心する。たちまち額から汗が噴出し、こめかみを伝いだした。
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