ジェフティ 約束
 ――あ、それはすごくすっぱいよ!――とラルフが言う前に口に含んでしまう。
「!」
 シェシルの目が見開き、目に涙が浮かぶ。ラルフは小さな茶色い木の実をフォックルに与えて、シェシルを見ないように笑った。
「とにかくだ!今日は絶対森を抜ける。早く出発するぞ」
 と、今度は苦いアブドの実を手にするシェシルだった。

 荷物をまとめて立ち上がったシェシルが、ふとラルフの足元にいるフォックルを指差した。
「もしかして、連れて行く気か?」
 まさかとラルフはかぶりをふる。
「そんなことしないよ。シェシルの餌になるのがおちじゃないか」
 ――肉食だもんなぁ――と足元のフォックルを抱き上げた。
「私はこんな食べ応えのないものは食わん」
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