ジェフティ 約束
「そうやって、いっつも闇雲に突き進んでいたんだろう。方向なんてお構いなしじゃ、誰だって道に迷うさ。俺たちは西に向かって進んでなくちゃいけないのに、さっきからあんたが草刈しながら何にも考えないでずんずんいくから、ほら、南に向かってるよ」
 ――あんたの性格、そのままなんじゃないの……。
 ラルフが太陽から視線を戻してシェシルを見た瞬間、頭のてっぺんから氷水を浴びせられたような衝撃が来た。シェシルの瞳が今までになく邪悪に輝いていて、手の中のナイフの柄を握りなおすのが見えたのだ。
 ――しまった!言いすぎた!
 声にならない悲鳴が、喉に詰まった。

「うぉりゃあ!」
 その瞬間、ラルフの前髪が巻き起こった突風で後ろへと流れた。
 その横では、激しい音と共にブナの木がなぎ倒されている。
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