ジェフティ 約束
 ひとふり草を刈った瞬間、目の前が急に明るくなった。木の間から日の光が差し込んでくる。
「出られた!」ラルフは思わず叫んだ。
 頭上の太陽はちょうど一番高い場所まで来ている。昼までに森を抜けられたのは、やっぱりシェシルが猛烈な勢いで草を刈って進んだからだろう。この分なら、ここから一番近い町へ夜までに着けるかもしれない。
「よし、行くぞ」
 ラルフから荷物を受け取って背中に担ぎなおしたシェシルは、ちょっと上機嫌だ。
「よかったな、四日ぶりか?外に出られたのは」
「うるさい!」
 シェシルはナイフを腰に戻して大股で歩き出した。その足取りは確かにうきうきしていた。
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