ジェフティ 約束
「あそこに何かいる……」
 森の奥、土地が隆起し岩が現れているところに、雪が吹き溜まっているところがあった。そこには一見、ウサギらしき小動物が踏み荒らした小さな足跡以外、白い雪の上には何の痕跡もないように見えた。しかし、よく凝視していると、その奥の川岸へと続く斜面の側に、まるでカモフラージュしているかのように白い布を丸めたような小さな塊がポトリと落ちているのが見えたのだ。

 ラルフはその塊が何なのか見当が付いたのだろう。一瞬後には手にしていたナタを振って下草を払うと、倒木を飛び越え走り始めていた。

「おい、ラルフ!」

 ダルクはラルフを引きとめようと慌てて手を伸ばしたが、その手はラルフのひるがえるマントをかすり、空をつかんだだけだった。
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