ジェフティ 約束
 シェシルは長剣を荷物の間に押し込み、ひょいっと馬に跨った。ラルフの方へ振り返り面倒くさそうに口を開く。
「どうでもいいが、来るならさっさと来い」
 ラルフは立ち上がり、歩き始める。急に背中の長剣の重みが増して胸を締め付けた。もう、最初から、コドロー橋から身を投げたときから、自分の歩む道はこれしかなかった。ラルフはシェシルのほうへ歩み寄りながら、長剣を背中から外す。
「お前が決めたことだろう」
 ラルフの手から長剣を受け取ると、自分の剣と一緒に荷物の間へ押し込んだ。そして、ラルフの腕を掴み馬の背へと引っ張り上げ、自分の前へ座らせた。
「前を見ろ。後ろは振り返るな」
 シェシルは一言だけ言うと、掛け声と共に勢いよく駆け出した。
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