ジェフティ 約束
風が頬に心地よく当たった。背中にはシェシルのぬくもりを感じる。馬に揺られる振動が、ラルフを夢の中へと誘う。瞳を閉じてその夢にまどろんでいたが、ふと匂ってくる血のにおいが、ラルフを現実へと引き戻した。
おかしな女だ。あんな信じられないほど強くて、非情の剣で甲冑に身を包んだ大男も簡単に切り捨てることもできるのに、こんなガキに情をかけるなんて。
「どこへ行きたい?」
頭上から言葉が降ってきた。
「どこでもいい。俺、村から出たことがなかったから、他の町とかなんにも知らないんだ」
――シェシルとなら、どこでもいいんだ。
「田舎者だな」
二言目には憎まれ口を言ってラルフをからかう。
「シェシルだって、放浪の身だろう。おまけに方向音痴だなんて、ありえないよ」
「ここで降ろされたいか、小僧」
シェシルは馬の歩調をゆっくりにすると、腕でラルフの首を締め上げた。
おかしな女だ。あんな信じられないほど強くて、非情の剣で甲冑に身を包んだ大男も簡単に切り捨てることもできるのに、こんなガキに情をかけるなんて。
「どこへ行きたい?」
頭上から言葉が降ってきた。
「どこでもいい。俺、村から出たことがなかったから、他の町とかなんにも知らないんだ」
――シェシルとなら、どこでもいいんだ。
「田舎者だな」
二言目には憎まれ口を言ってラルフをからかう。
「シェシルだって、放浪の身だろう。おまけに方向音痴だなんて、ありえないよ」
「ここで降ろされたいか、小僧」
シェシルは馬の歩調をゆっくりにすると、腕でラルフの首を締め上げた。