ジェフティ 約束
 ――だから!あんたの馬鹿力だったら、すぐに昇天しちゃうから!
「ぐっ、ぐるじ~~、シェ、シェシルの行きたいところでいいよ。俺、わかんないし!」
 ただし、クドイようだが、方向音痴なのだが。
「それじゃそうしよう」
 ラルフはシェシルの腕から開放されて多く息を吸った。
「それとさ、その腕力に訴えるところやめろよな。それでなくとも馬鹿力なんだからさ」
 ぼやくラルフの首を鷲づかみにして、頚動脈の流れを止める。シェシルがドスの効いた声で後ろからささやいた。
「何か行ったか?ラルフ」
「い、いい言ってない。何も言ってません」
 ――やばい、頭がぽーっとしてきた!
 ぱっとシェシルの手が離れると、ラルフの耳の奥に、ズワーっと音が響くほどの勢いで血液が流れ始める。
 このパターンにはいくつかバリエーションがあるらしい。覚えておいたほうがよさそうだ。

 ――ほんと、お願いだからその腕力に訴えるの、何とかしてくれよ。
 ラルフは一人ごちた。
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