ジェフティ 約束
 シェシルのぶすっとすねたような声が聞こえてきたが、ラルフは首を傾げた。
 ――この草原のどこに道なんてあったんだよ。
 もちろん今自分たちが歩みを進めている、その足元のどこにもそんなものはない。

 またもや、迷子なのか……。早くも……。森から出てまだ一日も経っていないのに。


「森にはどうやって着いたんだ?あの森は、プリスキラ大陸の一番東なんだ。その下から上がってきたのなら南、手前から来たなら西になるよ。どう、思い出せる?」
 シェシルは黙々と手綱を握っている。
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