ジェフティ 約束
「ラドナスを目指すなら今のうちだと思うけど。このまま北西に行けばいいんだ。近くなったらそれこそ道に出るよ」
 ラルフはシェシルの後方を指差した。今二人はほとんど反対方向を向いている。
「…………」
「なあ、シェシル」
なぜだか急に反応のなくなったシェシルにラルフは苛立った。
「アロフかサルファイに行くにしたって、それまでの食料も水も必要だよ。野宿ったって、こんなだだっ広い草原の真ん中でするつもりかよ」
 ――そりゃあ、ノベリアの兵士は絶対にラドナスを見張ってるだろうけど……。
 それでもこれから五日から十日の道のりを、食料を何も持たずに進むのは無謀だ。
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